「太陽光をつけたら、うちは結局いくら得するんだろう」。気になって、シミュレーションという言葉にたどり着いた方が多いと思います。

ただ、いざ調べると迷いますよね。無料ツールがいくつも出てくる。業者がやってくれる試算もある。計算式の話まで出てくる。どれを信じればいいのか、かえってわからなくなる。しかも業者が出す数字は、ちょっと都合よく高めなんじゃないか——そんな疑いも、正直あると思います。

この記事では、太陽光発電のシミュレーションで何がわかるのか、やり方は何があるのか、回収年数はどう計算するのかを順に整理します。あわせて、出てきた数字を鵜呑みにしないためのコツも。読み終えるころには、「自分の家の数字を、どう確かめればいいか」が見えてくるはずです。

太陽光発電のシミュレーションでわかること

わかるのは、ざっくり言えば「お金の動き」です。具体的には、こんなところ。

  • 予測発電量(どれくらい発電するか)
  • 節約できる電気代(自家消費でいくら浮くか)
  • 売電収入(余った電気をいくらで売れるか)
  • 初期費用と、それを何年で回収できるか

要するに、「いくらかけて、毎年いくら得して、何年で元が取れるか」。ここが見えると、「うちはやる価値があるのか」を自分で判断できます。逆に、ここが曖昧なまま契約に進むのは、けっこう危ういのです。

シミュレーションのやり方は3つ

やり方は大きく3つ。手軽さと精度が、それぞれ違います。

シミュレーション3つのやり方(手軽さと精度の比較)
やり方手軽さ精度向いている人
無料ツール高い(数分)概算まず全体像をつかみたい人
手計算中くらい考え方が分かる仕組みを自分で理解したい人
業者に依頼低い(現地調査)高い(前提に注意)具体的に検討を進めたい人

① 無料シミュレーションツール

いちばん手軽なのが、Web上の無料ツールです。住所や屋根の条件、毎月の電気代を入れると、発電量や節約額のめやすが出ます。テプコ系のサンクル、シャープや京セラといったメーカーのツールが代表的です。

数分でざっくりの全体像がつかめるのが利点。ただし、あくまで概算で、屋根の細かい条件までは反映しきれません。まずの当たりをつけるには十分です。

② 手計算でざっくり出す

仕組みを自分で理解したいなら、手計算という手もあります。式は後で紹介しますが、発電量と売電単価、自家消費の削減額から、回収年数を出していきます。

正直、ぴったりの数字は出ません。でも「だいたいの構造」がわかる。すると、業者の試算を見たときに「この前提、ちょっとおかしくないか?」と気づけるようになります。これが意外と効きます。

③ 業者に依頼する

いちばん精密なのが、業者による現地調査つきのシミュレーションです。屋根の形・向き・影まで見て出してくれます。

一つ正直に書いておくと、業者の試算は“営業の入り口”でもあります。前提(売電単価や電気代の上昇率)を強気に置けば、回収年数はいくらでも短く見せられる。数字そのものより、「どんな前提で計算したか」を必ず確認してください。

シミュレーションに必要な4つの情報

精度を上げるカギは、入力する情報です。最低限、この4つは手元に用意しておきましょう。

  • 毎月の電気代(できれば検針票。料金プランも)
  • 屋根の向き・形・傾き(南向きほど有利)
  • お住まいの地域(日射量が変わる)
  • 設置できるおおよその面積

特に電気代は、削減額の計算に直結します。昼間に電気をよく使う家ほど、自家消費でのメリットは大きく出ます。ここが雑だと、試算全体がブレてしまう。

住宅の屋根に設置された太陽光パネルのクローズアップ

「何年で元が取れる?」回収年数の計算

最後に気になるのが、回収年数でしょう。基本の考え方は、意外とシンプルです。

回収年数 = 初期費用 ÷(年間の売電収入 + 年間の電気代削減額 − 年間の維持費)

初期費用がある程度かかっても、毎年の「売電+削減」が大きく、維持費が小さければ、回収は早まります。逆に、割高に契約してしまうと、分子(初期費用)がふくらみ、回収はずるずる遅れていく。

ひとつ注意を。これはあくまで概算の式です。実際には、売電単価の変化、電気代の上昇、パワコン交換などの維持費でブレます。「だいたいこのくらい」のめやすとして使ってください。

シミュレーションの数字を鵜呑みにしない

ここが、いちばん大事かもしれません。シミュレーションの数字は、前提しだいでいくらでも変わります。

屋根・影・天気でブレる

カタログや概算ツールの数字は、好条件を前提にしていることがあります。実際には、屋根の向きや傾き、近くの建物や木の影、その年の天気で、発電量は上下する。「カタログ値ぴったり」にはなりにくい、と思っておくくらいでちょうどいいです。

業者の試算は「前提」を疑う

先ほども触れましたが、業者の試算は前提の置き方で印象が変わります。売電単価を高めに、電気代の値上がりを大きめに見積もれば、回収年数は短く見える。悪意がなくても、各社で前提がバラバラなことはよくあります。複数の数字を見たときは、「金額」より「前提」をそろえて比べる。これが正解です。

結局、回収を左右するのは「導入価格」

ここまで読んで、気づいた方もいるはずです。発電量や売電単価をいじる前に、いちばん効くのは「いくらで導入したか」だと。

同じ性能のシステムでも、契約先によって価格はけっこう変わります。割高でつかんでしまえば、どんなに良い試算でも、現実の回収は苦しくなる。逆に、適正な価格で入れられれば、シミュレーションどおり——あるいはそれ以上——の結果に近づきます。「太陽光はやめたほうがいい」と言われる失敗の多くも、突きつめれば“高く買ってしまった”ことが原因です。

迷ったときは太陽光発電はやめたほうがいい?、寿命や維持費の考え方は太陽光パネルの寿命は何年?も合わせてどうぞ。

まずは「わが家の数字」を無料で出してみる

シミュレーションは、難しく考える必要はありません。まずは自分の条件で、ざっくりの数字を出してみる。それだけで、「うちはやる価値がありそうか」「業者の試算は妥当か」を判断する“ものさし”が手に入ります。

申し込みではありません。自分に合うかを確かめるだけ。そこから始めれば十分です。

まとめ:数字は「前提」と「導入価格」で決まる

シミュレーションでわかるのは、「いくらかけて、毎年いくら得して、何年で回収できるか」。やり方は、無料ツール・手計算・業者依頼の3つで、それぞれ手軽さと精度が違います。

そのうえで、覚えておいてほしいのは2つだけ。

  • 数字は前提しだいで変わる。「金額」より「前提」を見る
  • 回収を最も左右するのは、結局「導入時の価格」

まずは気軽に、わが家の条件でシミュレーションしてみてください。自分の数字を持っておくこと。それが、損をしないための第一歩になります。